①婚活は少子化と非婚化の最前線 -女性の選択、理論とその実際ー

婚活にまつわる研究・言説をクソ真面目に考察します。

第1章 少子・高齢化の原因は未婚化・晩婚化

少子・高齢化の原因は未婚化・晩婚化

 

 少子化現象は、未婚化・晩婚化、そして、婚活と密接に関連している。現代日本の社会問題のひとつに少子化現象がある。少子化は、未婚化・晩婚化が原因であるとされ、その解決策として、婚活が注目されている。公的施策とは縁遠かった恋愛や結婚が、今や、公的支援の対象となっている。男女の出会いが、少子化を解消するカギだと考えられるようになったのである。

 未婚化・晩婚化が進んだ社会的理由は、男性の経済力低下であるというのが通説である。婚活が、世に登場したのが2008年である。婚活という言葉の提唱者は、社会学者の山田昌弘氏(以下、山田氏)である。山田氏は、婚活の必要性を主張するとともに、未婚化・晩婚化の主な原因は男性の経済力低下であるとした。以後、今日まで、未婚化・晩婚化の主たる原因は、男性の経済力低下であるという説が広く支持されるようになった。

 だが、この言説は、どこまで実態を反映しているのか甚だ疑わしい。婚活の当事者である私自身、低所得者ではあるが、低所得を理由にして女性から交際等を断られた経験が全くないからである。実際の現場では、女性が私の収入について知る前に、全てが無に帰するのである。こうした実体験を起点にして、未婚化についての言説や研究を見直してみようというのが、本論の目的である。

 なお、本論で用いるデータは、10年以上前のものも含まれており、データとしてはやや古い感がある。しかし、婚活ブームを契機に未婚化に関して広く論じられるようになったのは約10年前であり、現在も未婚化・晩婚化についての社会情勢は大きく変化していない。当時の言説との整合性を踏まえて本論を展開できるという点からも、旧データを用いるデメリットは少ないと思われる。よって、本論では、随所に10年くらい前のデータが登場することにご留意いただきたい。

 

 

 第1章では、本論を展開していくにあたり、その前提となる日本の未婚化・非婚化現象について通説的な内容を概観する。未婚化・非婚化に関して一般的な知識がある方は、読み飛ばしていただいても次章以降を読んでいただくうえでの影響はない。

 現在の日本には、数多くの社会問題が存在する。その中のひとつが少子・高齢化問題である。そして、少子・高齢化問題の最大原因は未婚化・晩婚化である。この章では、こうした社会問題や現象についての一般論や定説を概括する。